先日、インスペクターズ東海の勉強会で「のこぎり屋根と毛織物」の講演を聞きました。
講師はインスペクターをやりながら「尾張のこぎり調査団」で調査している小野先生です。
のこぎり屋根というと一宮市では繊維工場のシンボルですが、この、のこぎり屋根って数には違いがありますが、結構全国にもあるそうです。
のこぎり屋根工場は、イギリスで動力織機が設置された1820年代後半から30年代にかけて出現し、日本では明治16年(1883年)大阪紡績三軒家工場がイギリス帰りの技術者の山邉丈夫の指導で建てられたのが始まりといわれています。
電力による動力織機の導入は、原動機からシャフトとベルトを介して複数を同時稼働させる集団運転方式でしたので、工場内部に高さが求められ、採光にも優れているのこぎり屋根工場が建設されたといわれます。
一宮市や稲沢市から津島市にかけて、江南市などの周辺部も含めれば、現在でも相当な数のこのぎり屋根工場が存在するそうです。この地域の地場産業として大きな発展を遂げた繊維産業の工場ですが、現在は廃業などで数を減らしているそうです。産業遺構として調査、研究をされているそうです。
私自身も地元で見慣れていますので、逆に気にもしていなかったんですが、きちんと調査すると色々と判ってくるそうです。

一宮市で平成22年までに調査されたのこぎり屋根工場の数は2200棟だそうです。これって結構多いのではと思います。(一宮市は尾西市、木曽川町と合併していますのでその影響もあります)ただ、まだ未調査地域もあるそうですので、まだまだ増えそうです。
旧尾西市の起地区では500近い棟数あるようです。
美濃街道と旧宿場町、のこぎり屋根も散策すると楽しい新たな発見があるかもしれませんね。

赤レンガの壁